正しい知識と予防法について

食中毒と言えば、腐敗した食べ物を口にして起こる腹痛や嘔吐というイメージがあります。そのような事例もありますが、食中毒は有害な物質が体内に入り込んで起こる健康被害の総称です。
そのため、腐敗の有無に関わらず食中毒の症状に見舞われる可能性は否定できません。一般の家庭で起こる食中毒については腐敗した食べ物を摂取する他、タバコや洗剤などの誤飲、毒キノコや毒草の摂取が原因になるケースもあります。
看護師は食中毒を防ぐためにも、有害物質の正しい知識を持つことが何よりも重要と言えるでしょう。食べ物の臭気や見た目だけでは食中毒の有無を判断することはできません。また、銀の食器が変色するなどの迷信も科学的な根拠がないので注意が必要です。

食中毒を未然に防ぐには「つけない、増やさない、やっつける」の三原則が効果的とされています。食中毒を引き起こす細菌やウイルスを食品につけない、付着した細菌やウイルスを増やさない、それらの原因物質をやっつけるのが主な内容です。
家庭においては包丁やまな板、保存用の容器の扱いに気を配る他、冷蔵庫や冷凍庫の使用を徹底することが重要になります。また、調理時の加熱も注意しなければいけません。
細菌やウイルスのほとんどは加熱によって死滅しますが、発生した毒素は分解されずにそのまま残ってしまいます。毒素そのものは無味無臭なので食べ物の見た目で汚染の有無を判断することはできません。そのため、疑わしい食べ物は口にしないことを心がけます。