季節で見る食中毒の傾向や分類

食中毒が起こるのは、微生物や化学物質が付着して増殖した有害な飲食物を、何も知らないまま摂取することによります。ちなみにこの際に原因となった食べ物や飲み物を原因飲食物と呼び、付着した微生物や化学物質のことを原因物質といいます。
食中毒の発生時期は大きく分けて、夏と冬にピークを迎えます。その理由は夏場には細菌が増殖しやすく、冬場にはウイルスの活動が活発になるためです。したがって夏場は細菌性の食中毒が多い一方で、冬場にはウイルス性の食中毒が目立つ傾向にあります。
ただし化学物質による食中毒については、季節とは無関係に発生します。これは化学物質のある場所や状況によって左右されるためであり、季節とは関係ないためです。

夏場に多い細菌性の食中毒の発生件数と患者数は、どちらも食中毒全体の9割近くを占めているのが現状です。ただし患者数で死亡者数を割った致命率については、比較的低いのが通常です。
細菌性の食中毒の中でも有名なのが、腸管出血性大腸菌O157でしょう。体内で1日から7日程度の潜伏期間を過ぎると、腹痛をはじめ水溶性または出血性の下痢、吐き気や嘔吐、そして38度程度の発熱などが症状に現れます。
代表的な原因飲食物としては、加熱処理が不十分な牛肉が挙げられます。冬場に目立つウイルス性食中毒の代表格といえば、ノロウイルスでしょう。
この感染経路は原因飲食物から発生するケースの他に、人から人によっても感染する点に特徴があります。主な症状は吐き気や嘔吐をはじめ、腹痛や下痢、38度以下の発熱ですが、発症後から3日以内には軽快するのが一般的です。また主な原因飲食物としては、生カキが推定されます。